石油開発の流れ

石油・天然ガス開発事業の基本的な流れをご紹介します。

step01

鉱区権益の取得

産油国の鉱区公開入札への参加や、他の石油開発会社が既に保有している鉱区の権益を交渉することで取得します。
いずれの場合も、その鉱区の有望性をしっかりと技術評価することが重要です。

step02

地質の調査

石油・天然ガスの元になる岩石(根源岩)やそれらを貯蔵する岩石(貯留岩)が存在するか等、石油地質に関わるあらゆる事象を調べます。
かつては地層が地表に露出している場所(露頭)の調査や分析を行いましたが、最近は周辺での試掘情報や技術データを精査してシミュレーションを行うことが多いです。

check!岩石(貯留岩)の中に石油・天然ガスが!

肉眼では緻密に見える岩石でも、顕微鏡で見ると岩石の粒子間の隙間や、岩石の割れ目を確認できます。
石油・天然ガスは、そのような小さな隙間にあります。※黒色の部分が隙間(イメージ)

黒色の部分が隙間*イメージ

step3

地震探査

人工的に地震波を発生させて、地下から返ってくるデータを解析し地下の油や天然ガスが溜まりやすい有望な構造を見つけます。

step04

試掘井掘削

様々な調査(地質調査や地震探査など)によって推定された有望な場所に、実際に石油や天然ガスが地下に集積しているのかを確認するために坑井(試掘井)を掘削します。

check!岩石を削りながら掘る!

井戸を掘削するには写真のようなビットと呼ばれるカッター(コーン)を回転させます。
ビットは消耗品で乗用車一台分程度の価格です。

check!削った岩石はどこに?

地下で削られた岩石(掘り屑)は泥水でいすいと呼ばれる特殊な流体を循環させることによって地上で回収します。

step05

評価井の掘削、埋蔵量の算定、商業化の見極め

試掘井で石油や天然ガスを発見した場合は、油田・ガス田の大きさを調べるための坑井(評価井)を掘削し、
得られる様々なデータを分析することにより、油・ガス層中に存在する石油・ガスの量(埋蔵量)や油・ガス層の産出能力等を
推定します。 さらに経済性を含めてあらゆる検討を重ね、本格的な開発・生産に向かうべきか、意思決定が行われます。

check!油・天然ガスを地上に!

地下深く存在する石油や天然ガスは、地下の高い圧力により地層から自噴します。
生産を続けると地下の圧力が低下し、生産能力が落ちてきます。
そのため、より効率的に生産できるように開発方法を検討します。

step06

開発計画

商業化が可能と判断されれば、生産に用いる坑井(生産井)や設備の設計、必要な資金等を検討して詳細な開発計画を策定します。
天然ガスを開発する場合は、生産開始前に販売先を見つけ、ガス販売契約を締結します。

step07

生産出荷設備の建造・設置、生産井の掘削

開発計画に基づいて生産・出荷設備を建造し、生産井を掘削します。
天然ガスや一部の原油の場合は、販売地まで送るためのパイプラインも敷設されますが、海上では、原油・コンデンセート等の
液体物はFSOやFPSOと呼ばれる洋上設備からタンカーに出荷し輸送することが通常です。

step08

生産開始

生産出荷設備の建造、生産井掘削が完了すると生産を開始します。通常は、試掘から生産開始までは5-7年程度かかります。
ガス田の場合は、販売先の開拓、ガス販売契約の締結に時間を要し、10年以上になることもしばしばあります。

step09

油田への二次回収技術の適用

最初は勢いよく生産していた油も、生産を続けるうちに地下の圧力が低下し、生産量が減少し、最後には自噴しなくなります。
そのような生産井には、ポンプを設置して汲み上げたり、水や天然ガスを油田に圧入して地層圧力を維持しながら油を生産します。
このことを二次回収と呼びます。

step10

油田への三次回収技術の適用

二次回収後、生産量が低下してきた場合、三次回収技術として炭酸ガスや水蒸気を圧入して、生産量の維持や増大を図ります。
ただし、これら三次回収を適用できる油田は条件が限られており、全ての油田に対して適用できるわけではありません。

step11

廃山・廃坑

適用可能な様々な回収法を施した後、生産量が経済限界を下回ると、産油国政府の了解を得た上で生産を終了します。
生産井などの坑井は廃坑、生産設備は撤去し、可能な限り原状復帰して産油国政府に返還します。